感詰地獄

読んだ書籍、観た映画の感想や考察をつらつら書き連ねるブログです。

【閲覧注意】映画『整形水』感想・考察【ネタバレ注意】

こんばんは。高崎です。

今年はとりあえず映画を100本は観ておこう!と思いつつ、50本視聴したか怪しいですね…。忙殺され落ち込む日々にはやはり映画など創作物に触れ、心を常に燃やし続けていないといけないな~なんて再確認するばかりです。惰性でスマホおしゃぶりデイズしているとマジで脳みそ腐るので、しんどい時は全部手放してお散歩しましょう!

今年は『映画大好きポンポさん』『劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト』など、ブログで感想を書きたくなる映画がなかったわけではないのですが、「僕が語るまでもないだろ…」と臆していたり、自分の中でしまい込んでしまっていましたねー。この2本は本当に今年のベスト映画だと思います。胸を張って、全人類に押し付けていけます。

 

さて、そんなことまで思っておきながら、さらに忙しくなる2021年の秋口、何を語りたいかって『整形水』なんだよな~~~~~!!!!僕の大好きが大好きなだけ詰め込まれたプレゼントボックスだったぜ………。

今回はまぁまぁ頭がおかし目なことを書いているかもしれません。ので、一応タイトルに閲覧注意書いておきました。事前にも事後にも書きますが、決して猟奇的殺人等を奨励するようなアレではございません。道徳と芸術の思想と現実は別々、画面の中では好きにしようね。

 

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韓国映画は『コンジアム』以来ですね。僕の得意分野のサイコホラーです。カルト要素がないので健やかな気持ちで視聴できるのがサイコホラーの魅力!

seikeisui.jp

 

あらすじ

小さい頃から外見に強いコンプレックスを持ち、人気タレントのメイクを担当しているイェジ。タレントからは罵倒され、ふとした偶然で出演したTV番組では、自分への悪意ある書き込みで自暴自棄に。そしてある日、巷で噂になっている“整形水”がイェジの元へ届けられた。顔を浸せば、自らの手で自由自在に思い通りの容姿へと変えることができてしまう奇跡の水。後遺症も副作用もない。美しくなりたいという欲望に駆られ、イェジは“整形水”を試すことを決意する。全く新しい人生を歩むために。それからしばらくして、周囲で不審な出来事が起こり始める…。

出典:映画『整形水』公式サイト

 

予告映像はこちら。

www.youtube.com

 

ジャケで一目瞭然、ルッキズムを取り扱った映画ですね。

細やかな事情は存じないものの、韓国はエンターテインメントに大きく力を入れているほかに、整形手術の水準が非常にハイレベルだと耳にしますね。よく見かける、アイドル発掘オーディションのような番組でも、ものすごい美男美女を何人も目にしますし、時流をけん引する発信力と魅力と説得力をあらゆる方向から感じさせるのが、韓国のエンタメの”凄み”だなーなんて思ったりします。

 

原作はLINEマンガの『奇々怪々』第69~79話。

manga.line.me

 

オムニバス形式のミステリー・ホラーらしく、タイトルやサムネイルから漏れ出してしまうくらい、不気味な魅力が隠しきれていない作品が多そうです。

軽く読んでみたところ、原作の方がエグいですね…。映画の方は、より美醜の差に緩急をつけ、ドラマ性を膨らませていますね。村田版ワンパンマンみたいな感じです(?)

そういえば、韓国のWEB媒体の漫画には美容を取り扱うものが多いですよね。やっぱりルッキズムが浸透しているんでしょうか…。『外見至上主義』なんか250km/hストレートでしょこれ。

ルッキズムは近年騒がれる差別問題で、これって言ってしまえばファッションを楽しむことと相容れない要素でもあるのですが、それ以上に「ブスだから」「デブだから」などの容姿に基づく理由で社会的行動や社会的評価において不当な扱いを受けることです。この「容姿」というものは非常に厄介で、印象に強く影響するのに個人や時代の「好み」にも強く影響され、単純かつ明確、言語化するまでもないと言語道断されがちでいて不適切な判断に加担しやすい要素なんですよねぇ。「生理的」って要素は最も言語化しづらいく根が深い。いじめられる理由の一端にもなることではあるし、しかしながら当の本人が悪行を働いたわけでもない。

本当に難しい問題なんです。印象って持ち合わせた本人が客観性に基づいて改造しないと変わらない要素でもあるし、「顔」となるとより一層ハードルが上がりますし。それ以上に、莫大なお金をかけて得られるかわからない安心を買うのは博打が過ぎるし、そんなことを強いられるような悪を持っているわけじゃない。いじめはマジでやめような。

そりゃ主観的に見ても、自分のルックスがある程度自分の思うようであれば満足度は高いんですよね。とはいえ、なにもかも火の玉ストレートのド正論お気持ちを投げりゃいいってもんでもない。ルッキズムの話は長くなるのでここまで。

 

 

さて、感想に移るわけですが、整形水に体を染めるまでの流れがしんどいオブしんどいですね……。

主人公のイェジはメイクアップアーティストなのですが(なのですがと言うのも偏見なのか??)、かなりの肥満体型で小綺麗にもしておらず申し訳ないながらも「本当にメイクとかお洒落なことできるの??」って風体をしています。オドオドと振る舞い、話し方もかなりモゴモゴしています。これには秘密がありまして、音響監督の指示で口に綿を入れてアフレコしたみたいです。小道具有りとはいえ、「沢城みゆきさんだ!」とは全く思えない豹変した演技でしたね~~。

外見や振舞いもあり、担当するタレントのミラからは罵声を浴びせられ追い出されと散々……。ストレスからか、コンビニでハイネケンのロング缶にドクペ、ポテトチップスを爆買いし部屋でニュースサイトのコメント欄を見てニヤケたり怒ったり、アンチコメントを残したりと…もう見ていてしんどいですね。

あえてルッキズムを強調した作品ではありますが、コンビニ店員に面と向かって煽られたり、自宅マンションの警備員にもぞんざいに扱われる始末。また、イェジの方も見栄張ってエア電話して爆買いを誤魔化そうとしたりと、己に向き合う気はないが恥じていて不快、しかし改善する努力や労力が前向きでないのでやりたくない、という傲慢な負のスパイラルに陥っているのでなかなか……。人の振り見てと言うやつですね。

そんなイェジのスマホにクッソ怪しいスパムメールが来て、それに釣られて整形水が手元に届きます。個人情報抜かれちゃうからワンクリック詐欺には気をつけような!

ここから地獄が始まっていくわけなのですが、この整形水を全身に使用して絶世の美女になったイェジは「ソレ」と名を改め、街を闊歩し「美人は得をしている」を堪能します。ウィンク返したりしてたかな。(おそらく)親のカードでブランド品爆買いしたりね。100ウォン≒10円くらいなので、1300万ウォンの浪費をしたシーンも、「まぁブランド買い漁りして130万くらいで済んだなら安くね……?」と思わんでもないです。そもそも全身分の整形水が2億ウォン≒2000万円ですしね。130万円じゃ防音室も楽器も買えねえし…。

整形水のバイヤー兼メイクをしている闇のお姉さんも、広告塔にすべくイェジを利用するつもりとはいえ、出血大サービス9割引きで2000万円で絶世の美女って驚安の殿堂じゃね??

ここまでのシーンだけでも、自分の最大のコンプレックスであり、見えない高い分厚い壁であったルックスの呪縛から解放されたことを肌で感じ取れてしまった時のイェジの表情ったら本当に最高に輝いているんですよね……。顔って本当に残酷。何より肥満体型と一生部屋着みたいな服装もあったでしょうが、面と向かってバカにしてきた人たちが優しくしてくれる、自分を魅力的な人物だと扱ってくれておだててくる、気持ちいいに決まってんだよな~~~………。

イェジは幼少期にバレエをやっており、冒頭でも数々の入賞を果たしていることがトロフィーからわかるのですが、1位にはなれていないんですよね。本人も「実力はあった、顔がダメだった」と振り返っています。回想として、心理描写として何度か挟まるリンク上で踊るシーン、「これじゃあな…」と思わせるような頭身バランスとメイクの浮き方、送られない拍手などなど……。

あえて浮き彫りにさせる醜さと美しさの対比、純粋にバレエを愛する女の子を前後の描写と併せて醜く哀れで間抜けだと思わせるつくり、この見せ方は本当に残酷であり、本来排斥しなくてはならないルッキズムの意識を何度も何度も我々の中に蘇らせてくるんですよね。本当に最悪……(誉め言葉)。

ただ序盤の大きな救いのシーン、ミラの後輩の新人男優・ジフンが楽屋に。彼、吹替が諏訪部さんなんですよねー。白々しいくらいの誠実だけどカタブツでない色男が本当に似合いますね。

 

 

さて、シーンもマジで飛ばしに飛ばして、その後お付き合いすることとなったジフンとのおうちデート。

ここからラストまでのスピード感の緩急と練りに練られた無駄のないシーン繋ぎが巧みでしたね。ジフンの巧妙な策略と人心掌握、そして何より恐ろしい「仮面」の被り方。役者ですねぇ。諏訪部さんの声も相まって、本質も底も見えないながら、付け入る隙を見せてくる純な人柄を演じ上げているの本当にすごい。プレイボーイ気質と言ったら軽い言葉面ですが、女遊びが得意な人はこういった隙の作り方がとても上手いですよね。サイテー。

部屋には無数の絵画。注目された大きな一枚の絵画のテーマは分からなかったですね……。大天使か何かなのかな??グロテスクよりは神秘性を感じさせるビジュアルではありましたが真偽は不明。

家族写真を手に取ったソレ、そして家族について語り出すジフン。姉が2人いて、長姉はルックスにも頭脳にも恵まれた最強オンナ。まるで天使と称されます。次姉は控えめに言っても可愛くなく、堕落はしていないイェジと言ったところ。ソレも思わず息を呑み、言葉を詰まらせるほどに2人のルックスはコルカ峡谷ほどの隔たりがある。しかし、本当の天使は次姉だと言うジフン。本当の内面に向き合ってもらえなかった過去が自身にもあることを匂わせますね。

手作りのデザートのシーン。あーんしてくれるわけなんですが、ソレはトイレに行くからと遠慮をしつつ予感に任せ退路を探しに離席。ジフンは口に運ぼうとしていたケーキの欠片を丁寧にナプキンで包みます。あーなるほどね、完全に理解した。当然のように睡眠薬が入っていて…と。

デザートのケーキを作るシーンでほんのり聞こえる女性の悲鳴、ミスリードとしてキッチン下の収納を膝で小突くんですが、前後の脈絡もあり、「愛していた姉を監禁している…!?」と視聴中は思ったわけなんですが、ラストを見てしまうと納得…。

あのミキサーを回すシーン、ミキサーなんかケーキつくるのに使わねえよ…って思ったんですが、ソレがジフンに抱く疑惑をより闇色濃くするための描写なんですかねあれって。

(あまりこの辺のシーンを文字に起こすと、見るところ無くなっちゃうんだよな……。)

この後辛くも逃げ出せたソレがエレベーター前で見てしまった過去の自分と両親。醜さから散々味わわされた恥辱を忘れ去るために顔も名前も変えてしまって、本質的な自分を見失ってしまったことに直面させられるイェジ。童話にありそうな教訓めいた何かを感じてしまいます。そんな絶望を目前に我を忘れているうちにジフンに追いつかれ、後頭部をハンマーで打たれソレは再び連れ去られてしまう。さらなる絶望。

 

 

 

 

 

 

さてさてさてさて!!ここで僕が大大大大好きなシーンに!!入っていくわけですね!!!!

ソレを逆さに拘束して着々と"""パーティー"""の準備を進めるジフン。この縛り方はちょっと存じ上げないけども、おおよそ鶏をそのまま足縛って吊るしているような感じです。たぶん人間には用いませんが、膝を畳んでいるのと縄の結びつきから見て、あまり関節を痛めたりしないようなやり方なんですかねー。

芸能界から姿を消しつつ、SNSで爆発的に人気を博していたミラ。その正体はなんと完璧にメイクを仕立てたジフン。ウィッグと重厚なメイクで完璧にミラに仕上げていて、ソレの嫉妬心と競争心を煽り、自らのたもとに導くための舞台装置としてその「顔」を利用していたわけです。これも前のシーンにて、ジフンの部屋で見つけた整形水によるものかと思いきや、おそらく違うんですよね。なぜなら、ジフンの顔のパーツとメイクだけでミラを仕立て上げていることが、ソレの目の前で自明になるので。それ以外にももう一つ理由はありますが。

ソレが部屋を漁って見つけてしまった数多の女性の身分証コレクション。そして机の上で箱に封された4本の整形水。

ジフンは、「美しい」と見初めた女性のパーツを「自分のもの」にしたかった。男性である自分にはそれが完遂できない、それなら………と!!

"整形水を用いて、自身の身体に彼女たちをちりばめ、肉体的に「自分のもの」にする。"

いや~~~~このシーンと語らいが目から耳から入り込んできて、衣服を解き放って胸から腹までちりばめられた「彼女たち」を見せつけるジフン。愛する左膝にはミラの顔面。その後ろでは台風が過ぎ去った後のような、ハピハピハピエストで重たくも喜ばしいワルツが!!流れているわけですね!!実際に流れているんですが!?

見初めた美しい眼、それを持ち合わせていたイェジ。その眼球への執着はまさに出会った瞬間、文字通りの一目惚れ。彼女の目、ミラの鼻、口は不在だけど迎え入れる準備は進めている…。待っていてね…と。

嗚呼生きててよかった~~~と心の底から幸せがこみ上げて、その日の帰りにふと空を見上げて見えもしない天の川が見えるようで笑みがこぼれっぱなしでしたね。「このシーンのために生きていた……。許されちゃったな……。」って気持ちでした。ホラー映画で怖すぎて手で顔を覆うことはあれど、幸せに満ちて口元を押さえて「無理…」をこらえる限界オタクって実在したんですね……。こんなに幸せに満ちて声も表情も荒げるジフンの興奮を前に冷静でいられるかって話ですが。いやぁ、澄み切った美観と芸術性をお持ちだと思います。

ジフン自身も姉2人の「差」と侮蔑から心を痛めに痛めていて、自身の性別と美観が一致しない恐怖と、あらがえない現実を外堀を埋めることで願いを成就させようと精いっぱい努力し、地位を手に入れ愛しいパーツを自ら刈り取りにいける男性的な美しさを備え、整形水というアイテムによって自らに移植して「自分」になろうとしている。どことなく松永天馬さんの「生転換」を想起させますね。こんなに歪な愛情の曲じゃないが!?

女性の美しさを手に入れたい、しかし性自認が男性であるという抗えない最ッ悪の不快さ、それを解決してくれる整形水。天からの贈り物では……?

最近だと、『呪術廻戦』でも五条悟のハンガーラック作ろうとしてた組屋鞣造だとか、その人の骨を使った最高の作品の為に家族以上の存在を殺めようとした『殺彼』の西園寺徹チャンだとか、そういった猟奇性と芸術肌が非常に近しくかつ倫理に欠けた人物もよく見受けられるようになって僕はニッコニコなんですが、彼らって本当に複雑な世界の見え方をしていて時として可哀想にも見える一方、その純粋さはとても愛おしく素敵だなぁと思ったりします。

ただぶっ殺してミンチにしてるだけの残虐で心なく他人の命を刈り取るやり方は好みでないので、スプラッタ作品や引きずり込んで叫ばすだけ叫ばせるホラーなんかも実に苦手です。ちゃんとその人に寄り添った愛のある手段を選んで欲しいですね。それにしてもハンガーラックはセンスがないというか、耐久的にも厳しいかなと思うのでポールハンガーラックの方がいいんじゃないかなぁ。

 

脱線しちゃった。そして舞台はエピローグへと。

その後も会長=ジフンの指示で美しいパーツを持った女性をスカウトし続けるキム。今度は唇。笑みを浮かべ、新たな眼を入れた左膝を愛でるジフン。劇中の口ぶりからも、会長の正体がジフンであるということには気づいていない様子。

そして新たな標的が餌にかかり……。ここで終幕です。

ここで考察。間違っていたり、見落としや勘違いあればごめんなさい。

家族写真のシーン、ジフンの独白や父親の顔だけはハッキリ映らなかったことから「姉2人」ではなく、娘2人なんじゃないかって思ったり。愛情を注ぎ、本質をよく知る父から見ても、優しい人柄であるのに容姿のせいで虐げられることをとことん許せなかったのでは…。ジフンの口からも容姿に関しての強いコンプレックスとともに執着が語られますが、そんな思いもあって偏愛を育て上げてしまった要因の一つなのかなぁ。

こう考えた理由として、キムは会長のことを終始「ジジィ」と陰口叩いていることから。企業の会長職ですし、WEBだったりにも顔の一つくらいあがっているんでしょうしね。電話口でのやり取りをしているわけですが、声色や声質に関しては役者なのでなんとかやっている、と言ったところなんでしょうか。

キムが一枚噛んでいて獲物を探しているとはいえ、足がつくやり方は出来ないわけです。だったらジフンとして表舞台に出るなよ…と思わんでもないですが、彼は非常に根の深い自己愛性を持ち合わせているので、美しい男性として完成させている自身を見せずにはいられない……といったところなのか、ミラの味見に来たといったところなのか…ここら辺は妄想になってしまいますね。

キムがどこまで知っていて行動しているのかが一切語られず、吹替を担当した日野聡さんは一説の解釈をもって演じているそうですが、どんな解釈で演じているのかは彼のキャラクター性も相まって全くわからなかったですね…。芸能界の闇の面といった感じでしょうか。整形水のバイヤー兼メイキングのお姉さんも何者かまでは分からない、安いブラックジャックみたいな存在でしたしね。整形水自体の卸にしろ、流通生産を考えれば、彼女は末端の一人でしかないのかな?

麻薬にしろ、生産工場→元締め組織→(大略)→末端の流通販売(個人)…と簡略化しただけでも3つ以上はあるのかなぁと思いますし。

ジフンは毎度顔を変えて新人俳優に扮して味見に来ているんだとは思うんですよね。そうでないと、キムにも尻尾を握られかねないし。そこから考えると、外見的な年齢もリセットできてしまうんだろうなぁ。この発想が「姉2人」が「娘2人」なのでは?と考える理由の裏付けにもなっています。

 

バイヤーのお姉さんが口走っていた「肉を手に入れるのも楽じゃない」とのことで、人身売買的ルートも確立されているのかなというのは推測できますが、これっておそらくジフンの手にかけられた女性で賄われているのかな。楽じゃないのは費用面、もしくは殺人を伴うため…でしょうし、肉質といった条件もあることは劇中でも確か語られていて、品質にはジフンも大いにこだわっているのは間違いないので、整形水を中心にした経済の流れはあらゆるところでジフンが源流になっていますね。ジフンという鶏が整形水を産んだのか、整形水という卵がジフンをこの世に落としたのか……。

多くの20代女性失踪ニュースが劇中で何度も耳に入りますが、これがジフンの仕業である可能性は大いにあり得て、芸能界以外でも味見しにきている可能性もありますね。

  • そもそも自宅に招いたシーンで、引き出しの中から大量の身分証が出てきている訳で、裏で糸を引いているのは確定だワ...。失礼しました。

なにしろ容姿も自由自在なわけですし、巨大なコンプレックスを抱えて一枚厚い皮を被って生きなくてはいけなかった彼だから成せる技でもありますよね。

書けば書くほど、振り返れば振り返るほど、あのワールドにおけるジフンという存在があまりにも大き過ぎる。恐ろしい男……。

とはいえ、整形水が原因で事件に巻き込まれることになったのは劇中では彼女だけ?なんですよね。見たこともない綺麗な眼の色に魅入られたとはいえ、ジフンに直結するルートを自力で手繰り寄せたのは間違いなくソレの行動あってですし。整形水の元々の用途は美容整形的側面ではなかったのかもしれませんし、容姿だけでひたすらに冷遇されてきた次姉を思った末に誕生したのかもしれませんし、その発端は神のみぞ知る。

冷静に考えて、人体を溶かして液状になっても生き永らえるような謎液体、マジに怖すぎる…。内容物の組成が気になっちゃうね。

 

さて、久々に心震えて感動した映画だったのでものすごい文字量になってしまいましたし、振り返れば振り返るほど闇の源流はジフンにあるように思えるし、何よりも現実に起きているルッキズム問題を皮肉ってここまで追い込む作品は、韓国ならではの作り込みだなーと思いますね。

日本だとジフンは出さないで殺人や嘘で塗り固められた「ソレ」に付きまとう呪いと重圧に耐えられずイェジが自殺する、あたりでオチ作っちゃいそうですし。『ヘルタースケルター』的なオチになっていたかもね。

さてさて、まだまだ日本語吹き替え版が挿入された円盤も発売されていませんが、お近くの劇場にて『整形水』を観に行ってくれると嬉しいです。こんなイカレた文章でも、きっかけのひとつとして『整形水』を観に行く理由にしてくれたら嬉しいな~~。

 

大好きな園子恩パパのハリウッド映画も上映始まったし、マクロスも観ないとだし、なんだかんだ観るものが尽きない10月かもね!ハロウィン映画もたくさん観とくといいよ!旬だぞ!

ではでは。

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